今日も続くよ、システム運用という修羅場を生きるSE(システムエンジニア)の悲劇【システム運用概論】

今日も続くよ、システム運用という修羅場を生きるSE(システムエンジニア)の悲劇【システム運用概論】

仕事でマジメに怒ったのは10数年ぶりです。みかん(@GuyTangerine)です。めっちゃ疲れた…。怒るというやり方は愚策なのに、さすがに怒ってしまった。パートナー企業(下請け)で弊社に常駐している社員たちと営業担当者が、ちょうど打ち合わせをしていたので殴り込み。堪忍袋の緒が切れるようなことが連続で続いたので。その内容は次の記事にするとして、この記事ではシステムのお仕事を分かりやすくご紹介。

SE・システムのお仕事の業態・分類

SE(システムエンジニア)、システムを職業にしているといっても、その業態や分類は千差万別です。まずは業態や分類を簡単に。

システムエンジニア

どの業務をシステム化したいのか、どんなサービスのためにシステムが必要なのか、業務要件(機能要件)をヒアリングして、それを情報システムとして具現化する。そして、その情報システムを運用していく仕事をSEと一括りにしています。

その中には、

システム企画:要件を整理してスコープを決めてシステム概要を策定
システム開発:要件を確定させて、設計し、テストを行う
システム運用:完成したシステムを長年使うためのメンテナンスや障害対応
システム保守:故障や障害に対応して復旧させる

という分類がメジャーです。

この中の主に、システム開発やシステム運用の部分ではいろいろなシステムに特化した会社が存在します。Sier(システムインテグレータ)、ベンダーなどと呼ばれるシステム会社です。日本で有名なのは、NTTデータ、富士通、伊藤忠テクノソリューション、日立、三菱、IBM、日本オラクル、EMCジャパンなどです。大企業では、子会社やグループ会社にこのような会社を持っていることが多いです。鉄道事業者や金融機関、大手流通、大手小売りなど。JR沖縄システムとか、子供銀行システムソリューションとか、黒猫システムズ、損切証券システムズみたいに。このような会社はシステム開発やシステム運用を主に行っています。

いろいろ複雑なのはここからです。このようなシステムの会社には、システムの中でも専門性に特化したお仕事があります。

プロジェクトマネージャ:システム開発の進捗や資金調達、調整等の管理に特化
ネットワークエンジニア:N/W構成設計、機器導入と設定、回線の調達に特化
データベースエンジニア:データベースの設計や導入、チューニングに特化
サーバエンジニア:基盤とも呼ばれサーバを導入して設定やインストールに特化
Webエンジニア:Webクライアントの設計や画面UI設計に特化
プログラマ・テスター:プログラミングとテストに特化
社内SE:金融機関や鉄道会社、小売業などの情報システム部門のメンバ

わたしのシステム屋職歴で一番長いのが社内SEというお仕事です。

社内SEとは何をしているの?何でも屋?

金融機関や鉄道会社などの社内SEは、いわゆる上流工程(企画や設計)というお仕事から下流工程(運用やオペレーション)まで何でもやらないといけないので、それぞれの分野に担当者を配置して、その配下で契約したSIerやベンダーに専門的なシステム業務を行ってもらいます。

元請けと下請けの構図です。下請けには孫請け、曾孫請けなどのメンバーがいて、システム業界はIT土方とか揶揄されます。東電福島の廃炉や除染作業の作業者の多重請負の構図ですね。東電→東芝重工→東京建機→東京ストラクチャ→前田電機→佐藤工業→派遣社員、みたいな構造です。

基本的には、ベンダーと協業でシステム開発やシステム運用を行います。自社の営業部門や商品開発部門、経企部門、人事部門などからの要件をヒアリングして調整してシステム化して、そのシステムを稼働させて、末永く運用していきます。金融機関や鉄道会社、小売業などは、本業の部署にエリートや兵隊を送り込みたいため、社内SEがいる情報システム部門は、だいだいが人数が足りずにスキルセットもあまり高くない状況ですね…

で、わたしは、日系ベンダーと中国法人のシステム運用チームを何チームも管理をしています。

もちろん、これらに付随した交渉、契約、決裁、支払処理なども自分でやるので、そこらへんの営業マンよりか金勘定や会計、粗利計算、法務に詳しくなります。

大きく分けるとシステム開発とシステム運用の2大別

SEと聞くと、だいたいがシステム開発がイメージされるんですよね。

企画、設計など。プログラミングとか。要件定義して、基本設計して、詳細設計して、構築して、テストを行う。そしたら、サーバを構築して、N/Wを構築して、サーバに構築したプログラムを入れ込む。最終テストをしてリリースを迎えます。

でも、実は、ここからが辛く長い戦いなのです。システム運用というやつです。

サーバ機器もN/W機器も資産ですから減価償却していきます。プログラムもソフトウェア資産として減価償却していきます。この期間がだいたい5年というのと、新しい仕組みを試してみて取入れなどを考えると、やはり最低5年くらいは使い続けます。

システム運用の現場とは?

その間には、システムが正常稼働しているか監視とトレースと分析する必要がありますし、システムと言えども人間が作ったのでバグなどの障害対応もあります。拡張したり、セキュリティパッチをあてたり、法改正対応をしたり、様々な監査対応したり。ユーザーが普通にシステムを使えるようにするためには、この5年間でやることはゴマンとあるのです。

これがシステム運用の世界です。そして、ここは人間がメインです。人間は資産ではないので一番高い人件費をランニングコストとして投じ続ける必要があります。

ここを分かっていない人たちが実に多い!

ビジネスパーソンや経営陣、そして同じシステム屋でも分かっていない人が多い。理解がないので軽視され、コストは下げられ、現場はスキルの低いメンバーをどうにか指揮してシステム安定稼働に臨まなければなりません。スキルが低いという言い方は良くないですが、人間の単価こそ、スキルに応じてコスト・費用が正比例する超ドライな世界です。安かろう悪かろうの世界。

そう、動物、いや、珍獣たちと一緒に、自分も珍獣になって戦いに臨むのです。

さっき、多重請負構造と言いましたが、この構造がこの状況を悪化させます。何社か挟むのでピンハネ代を差っ引かれた安価な費用の人間が最前線に投じられるのです。コンビニの中国人アルバイトよりも日本語や仕事が出来ない中年オヤジとか投じられます。マジです。ほんとマジです。ふざんけな!ベンダーの営業!って思います。

あ、そうだ、人件費以外にも、障害や故障での部品交換やサポート担当への質問などに毎年高い保守料金も必要です。


運開分離(開発と運用の完全分離)という原則

IT内部統制というコトバを聞いたことがあるでしょうか?!

J-SOX会計監査の導入で、とても厳しくなったのがIT内部統制です。きょうび、ITはビジネスで必死なので、ITをまともに使って、まともに運用していない企業なんて上場なんてしてもらっちゃてら困るよねっていう考えです。リスキーな企業は株をオープンに売買する場から出て行ってもらいますっていう方針。




その中で大きな柱が「運開分離」です。

システム開発とシステム運用は人間も権限もシステム環境も完全分離させなさい。なぜならば、相互牽制を効かせて不正を防ぐためです。情報システムは機密情報や個人情報のデータをガッツリと持っているので、それを不正に使用したり外部に流出させないようにするためです。

例えば、テスト中の未完全のプログラムが本番環境にコピーされた誤作動しないように、とか、テストするデータと本番環境のお客様のデータを使いまわしたり混在させないために、とか。そのためにシステム環境は物理的に分離するのです。

そして、仕組み的にも完全分離させます。お客様の情報が入っている本番環境はシステム運用セクションで権限を与えられた人間しかアクセスできないようにして不正や漏洩リスクを低減する。とかです。

そして続くよシステム運用の悲劇は…

システムがリリースされ本番環境としてサービスを開始したらシステム運用の範疇です。

しかし、開発は開発しかしません。運用は運用しかしません。という大原則。(もちろん異動や担当変更で権限や職責、指揮命令系統が変われば同一人物でもOKです。同一人物が並行に開発と運用をしてはいけないということです)

リリースしたシステムのシステム運用は最低5年使いますよね?
人間系でめっちゃコストかかりますよね?
監査とかIT内部統制で本番環境を使う人間は限られますよね?

でも、

あなたが情報システムなんてまったく知らないとします。情報システム部門の上役に異動となり、新しいサービスの売上や効率化のコスト削減を数値的に求められます。やべー、システムを企画や開発せねばー!ってなります。あら、あらら?システム運用のお勉強しなくて良いのですか?!あの、コスト、めっちゃかかりますよ?システム運用って。システム運用が破綻したらあなたの企業が潰れますよ?

という、わたしの愛するシステム運用屋の世界をなんとなくご理解いただけたでしょうか?これをご理解いただいたら、ベンダーの社員たちと営業にめっちゃ怒った記事が、より理解できると思います。はい。





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