大手広告代理店Dだけが「悪」ではない!<ブラック何でも屋>から真の<広告屋>に進化せよ

かつて、ある広告代理店とタッグを組んでお仕事をしていた みかん(@tangerine_buddy)です。今日はオピニオン的な記事を書こうかなーって思ったら感想文になってしまいました。

大手広告代理店の新人女性社員が過労とパワハラ言動によって精神疾患となり自殺してしまった事件は記憶に新しいと思います。

電通過労自殺・高橋まつりさんの母と電通が合意「娘は帰ってこない。今働いて、苦しんでいる人、逃げて欲しい

意を決した母親が真剣に訴えた姿は社会問題(やっと!)となり時の政権は「働き方改革」を標榜したり、大手企業では残業抑制の動きが加速しています。(残業は出来なくなっても仕事量はもちろん減らないんですけどね!おかしな話だ…)

その陰には、表ざたにならずに精神疾患で戦線を離脱した若者も多いでしょう。華やかなイメージのある広告代理店ですが、実態はかなり泥臭いですよ。

なお、同じ大手広告代理店では20年前にも若手が過労の末に自殺をして、裁判により全面的に会社側の非が認められ和解しました。過去の教訓は活かせなかったようです。20年間変わらないってスゴいな…。経営陣は何をしていたのだ…。

[事例1-1] 長時間労働の結果うつ病にかかり自殺したケースの裁判事例(D社事件)

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クライアントのプレッシャーがスゴい

広告代理店はクライアント企業の企業イメージを良くしたり、商品を拡販したりする施策を提案して実行するお仕事があります。また、クライアント企業の広告・広報部門を丸々と請け負う形で予算をもらって仕事をしています。このクライアント(超大手企業はナショナルクライアントといってラスボス級)のプレッシャーがスゴイのです。納期やコストカットがえげつない。それに応えるためには、

金曜22時にメールで「広告マンさん、月曜の朝イチまでによろ~」
朝に出社して未明にタクシー帰りがデフォルト
マイホームを購入しても職場近くにワンルームを借りる
歓送迎会や暑気払いなどの飲み会後に職場に戻る

なんてのはよく見る光景です。

何かあったときのプレッシャーがハンパない。例えば、掲示物の誤記、デジタルサイネージのスペルミスなどが公になったら「話と違う!金返せ!」がスゴい。その場合、広告マンは土下座外交しか手がありません。八方手を尽くして許しを請うのです。

死傷者が出たわけでもなし、そんなヒステリックにならんでもって外野は思ってしまうのですが。書籍でも誤植とかよくあるし。クライアント側の不祥事で広告を落としてくれ!!っていう無理をいうこともあって、おたくの会社の問題でしょうと…。

特に、現在は、広告にミスがあるとSNS上にアップされるのですぐに大衆に知れてしまいます。かつては担当者間でコソッと内緒にしたり揉み消したりできたこともすぐに「話と違う!金返せ!」の材料になってしまうようです。カネカネうるさいなーって思います。

「倍返し?広告業界は3倍返しだから…」
というボヤキを聞いたことがあります。堅気とは思えない…。ミスったら3倍の金額を返金するという暗黙のルールがあるのです。

実際、私は、涙目の若手広告マンを見てきました。デジタルサイネージがらみの仕事をしていたので「何とかしてください」と頭を下げられたことも何度もあり、公になる前にいろいろなルートを駆使して対処したこともあります。土下座するときのシナリオを一緒に考えたり。個人的なコネクションで休日に家族旅行している取引先担当者をムリクリ呼んだこともあります。(どんだけの関係者が疲弊するんだって話ですよね…)

費用対効果や広告効果が可視化しにくい

このご時世でもゴールデンタイムに面白くもないバラエティ番組が放映され、テレビ広告がバンバン流れているのは時代遅れな感じがしますが、テレビは視聴率という物差しがあります。この位の視聴者ボリュームにはリーチできたという効果がある程度分かるのです。しかし、購買まで至ったかは残念ながら「手ごたえ感」みたいなことでしか把握はできないようですが…。あとはアンケートとか。

新聞や雑誌なんかも販売部数がありますが、同じ構図ですね。ここ数年、デジタルサイネージ広告が盛り上がっていましたが、こちらも、なかなか効果の数値化が難しくて四苦八苦しているのが実情です。個別の実験的な試みによる結果はいくつもありますが、大局的には未成熟なようです。(香港あたりのほうが規制が緩くて先進的)

神様「媒体社」と神様「クライアント」の板挟み

一般的な広告代理店はポスター掲示場所や新聞・雑誌の広告ページ、テレビCM、デジタルサイネージの仕組みなどの媒体を持っていません。これらを「広告枠」と言い「広告枠」を持っている会社を媒体社と言います。主にメディア系マスコミ系の会社ですね。

クライアントは神様ですが、媒体社も神様らしいのです。媒体社に頭を下げてお金を払って「広告枠」を確保して、そして、その「広告枠」をクライアントに提案します。時には企画も抱き合わせで。某マラソンするチャリティ番組やサッカー日本代表戦の時のCMを眺めてみましょう。ナショナルクライアントが多いですよ、超高いCM枠なので。

大金で青田刈りした「広告枠」は、是が非でもクライアントに売らないと大赤字です。無理してでも売りますよね。そりゃシンドイわ。(海外では広告代理店が媒体まで所有している商習慣の国もあります。費用対効果が高そう)

広告代理店は、なぜ「代理店」なのか?薄利多売ってホント?
売上の大半は「様々なメディアから広告枠を買い取って、それをクライアントに売る」行為です。例えば、30秒のTV CM枠を1週間1000万円で買い取って、クライアントに1100万円で売るような手数料ビジネスが屋台骨なのです。そしてなぜか媒体社のほうが立場が上という商習慣があるようです。手数料ビジネスは往々にして薄利多売です。

大手はインターネット広告で出遅れた

インターネット広告はクリック数や購買に繋がったコンバージョン数などの分析が容易なので、クライアントとしては費用対効果が見えやすいのです。ただ、広告代理店でトップに君臨し続けた大手広告代理店では、右肩上がりのインターネット広告に出遅れた感があります。ナショナルクライアントは手堅い古典的な手法を選びがちなので、インターネット広告の施策や効果測定のノウハウで遅れをとっていたのです。

電通、2億円過大請求 ネット広告に冷や水も

資金力があるうちに抜本的対策としてAIを導入するなどして挽回する必要があるなぁと感じます。従来の何でも人間でやってきたやり方では消耗戦の果てに落城するでしょう。ただ、IT系でインターネット広告に特化した広告代理店はたかが知れているので大手広告代理店が本気になればなんとかなるような気がします。買収とか。

何でも屋からの脱却して真の広告屋へ

泥臭い手法で過重労働を前提として成立しているブラック何でも屋の大手広告代理店ですが、「このリソースでは出来ない」、「効果は想定できるが保証はできない」、「人間が介在するのでミスはある」ということを言い切ってよいのではないかと私は思います。お金も人間も、リソースは限られてきます。

残業時間が抑制されてクライアントの要望に応えられないというニュースがありましたが、ぜひ、その「応えない」方針で突き進んで欲しいです。全社を挙げて大々的に働き方改革キャンペーンを展開してください!

働きたいのに働けない!「最高益」でも電通社内は大混乱

マス広告を打ち出しても、結局、失われた20年で購買意欲は低いままです。消費者の購買行動は多様化し、商品を見定める目も厳しくなり、何よりもお金を使うことに非常にシビアな時代です。かつての成功体験やマス広告に別れを告げて真の広告屋に進化することを願っています。創造性や巻き込み力をフルに活かして先陣をいってください。影響力のある企業ですから、ぜひ変革して欲しいです。

まとめ(日本の商習慣の闇じゃないかな…)

華やかで高収入というイメージがある大手広告代理店ですが、実態はとても地味でシンドく疲弊する仕事です。その対価がステータスや高給なんでしょうけど。この国の「お客様は神様です文化」「完璧を求める文化」の犠牲者は大手広告代理店にも当てはまるのです。一見ホワイトなナショナルクライアント企業の無理難題にもブラック化の一因があると思います。

長文でしたが、ありがとうございました。あくまで私が見聞きした広告代理店の一側面です。最後に、過労で自ら命を絶った若者に哀悼の意を表します。また、その事実を公にして問題提起を行った、遺族の方々の相当な決意と覚悟に敬意を表します。

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