[書評]【廃道~棄てられし道~ 写真家:丸田祥三】ほとんど埋もれた隧道の写真は圧巻!

産業遺産や廃墟に興味をそそられる @tangerineです。

廃墟や廃線、朽ち果てゆくものの写真なら右に出るものはいない丸田祥三氏 @malta_shozo
たまに、雑誌「東京人」などで鉄道写真を掲載しています。大好きな写真家さん。

今回は、道。それも自動車道の写真集です。
山中に忘れられた隧道の写真は圧巻です。

クルマの道に美しさがあるものなのか?!

炭鉱の遺構、鉄道の廃線、集落の跡形。
これらの写真は滅びの美しさがあります。

かつて栄えたもの、かつて花形で必要であったのも。
それらが時代の流れと共に存在が危ぶまれ、ついに不必要になった後。
朽ち果てながら、それでも存在した証しを見せてくれる。

そんな遺構を美しく捉えて写す、写真家:丸田祥三氏。

今回は「道」である。それも「自動車道」だという。
歴史ある街道ならまだしも、そんなクルマの道にそのような美しさがあるのか。

民放のテレビ。ゴールデンタイム。
テレビ屋下請けマンがひと花咲かせようと思案したであろう番組は、
学生体育会系のようなバカ騒ぎの芸人と局アナで彩られる。

その少しあと、ニュース・報道とは名ばかりの記者クラブで収取した情報が垂れ流される。
こちらは、シリアスな声を出せるアナが原稿を読み、隣では旧来的な博識者がコメントを添える。

そんな合間に流されるCMは決まってクルマのCM。

今を華やぐ売れっ子芸能人がクルマに寄り添う。
まだまだ、この国の産業はクルマが頑張っているのである。

そんな現役バリバリのクルマのための自動車道に、冒頭で述べた美しさがあるのか。

美しい面構えの隧道の数々

驚いたことに、隧道の写真は圧巻だ。

自動車を通す、背丈よりずっと高い、大きい穴を埋めんばかりに土がせまる。
ほとんど埋もれた隧道。

面構えは美しく、石垣のように構築されている。
コンクリートのっぺらぼう的な面構えでなく、レンガ造りに近い。

地に巨大な足、つまり橋脚で道路を支える構築物も幾何学的に美しいが、
地に直接的に穴を掘り進める隧道は美しいというより、何か威風のようなものが漂う。

朽ち果て、埋もれた隧道がこんなにあるとは。
ほとんどが機械類の乏しい時代の工夫が掘り進めた隧道である。

メンテナンスするより新しく作ろう

メンテナンスして使い続けるより、新しく作ってしまえ。
道は、それが多い。

バイパスを作ってしまえ、大きなトンネルを掘ってしまえ、
橋を架け替えてしまえ、直線にしてしまえ。
そんな土木工事により、細く曲がりくねった旧道は遺棄される。

使い続けるコストと、新しく作るコストが同じだったら?
人は新しいものを作るであろう。
「みんなのもの」である道路は、個人の情や執着の入る余地が無い構造物。
公共構築物の性質である。新しいものが良い。

私人が経営する企業の構造物や、国有鉄道の前は私人が敷設した鉄道。
これは無論、私人・個人の情や執着が入り込む。事情は複雑になる。

歴史が浅いとはいえ、純然たる公共構造物の色が濃い自動車道は、
棄てられゆくスピードやサイクルが速いのであろう。

輪行してポタリングするとき、
旧道や脇道を気にしてみながら走ってみようと思います。
廃道があるかもしれませんからね。

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