書評【東京幻風景 丸田祥三】朽ちていく日常を非日常で表現する写真集に鳥肌するくらい感動する

写真 2015-05-04 11 09 36

ボクは勉強不足なので好きな写真家という存在がない。強いて言うなら「丸田祥三」氏である。廃墟や産業遺構、鉄道ならば、この写真家に右に出る写真家はいないと思う。今回、朝日新聞に連載された「東京幻風景」を編纂した写真集で鳥肌立つほど感動したのである。


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写真 2015-05-04 11 09 36

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日常に埋もれた遺構を、非日常に表現する写真

買おう買おうと思っていて、買う機会が無かった写真集。図書館で偶然見つかったので借りたのである。写真家に敬意を表するべく購入というのが一番の恩返しなのだが、すぐに眺めたくて借りてしまったのだ。

写真家「丸田祥三」氏が撮影する廃墟や遺構、産業遺産や鉄道は、物語を持っている。過去から現在の視点を大切にした写真は、鳥肌が立つくらいの圧巻な写真が多い。

現役華やかな頃の日常から、遺棄されて朽ちながら余生を送っている被写体を、過去の記憶と共に非日常に映し出す。

ボクは学生時代に観光文化論を学び、ノスタルジックな光景を必死に写真を撮ったものである。中野のフジヤカメラでPENTAXの中古一眼レフ(フィルムカメラ)を買って、ゼミの取材や独り旅に出ては、ヒトが見向きもしない遺構を撮って歩いた。

だから、「丸田祥三」氏の写真は、ボクの写真(趣味)人生のバイブル的な存在なのだ。

現像時の編集で記憶した光景を表現する

「丸田祥三」氏の東京幻風景では、デジタルカメラで撮った写真を編集過程でコントラストや特定の色の彩度などを調整して、記憶に忠実に再現している写真がほとんどである。

デジタルの現在では、このような調整を「現像」と呼ぶらしい。青が記憶に残れば、青の彩度を上げて表現する。赤が記憶に残れば、赤の彩度を上げて表現する。

デジタル時代の現像という言い回しには多少抵抗があったが、今回の東京幻風景でそのアレルギーは払しょくされた。

原風景という原点

「丸田祥三」氏という写真家は、原風景を大切にして写真を撮るヒトだ。かつてご自身がカメラ少年だったときの原風景、かつて現役時代だった遺構の原風景。原風景には物語がセットとなる。それは空想かもしれない。でも、物語の無い被写体ほどつまらないものは無い。物語をバックボーンとして被写体と対峙する写真家はそうそういない。

ボクは、原風景や物語を大切にする表現者が好きだ。

※廃電車にフォーカスした写真集は以前記事にしてます!

[書評]丸田祥三氏の「廃電車レクイエム」をしんみり満喫する | フォト*さいころ
廃電車にフォーカスした写真集!

超広角レンズで斜めに切り取る構図

今回の東京幻風景では超広角レンズを用いて、斜めに切り取る写真が多かった。こんな撮り方もあるのだと、ボクも超広角レンズが欲しくなってしまった。

写真を眺めると、やはり物語に敬意を持って被写体に臨んでいる。ボクも、切り取りたい光景や表現したいモノには物語をイメージして敬意をもってシャッターをきることにしよう。

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